声明・談話

《声明》学校教育法の改定案および国立大学法人法の改正案の廃案を要求する

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2014.06.07

 安倍内閣は4月25日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。法案は、現行学校教育法第93条の「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」という規定を破棄し、教授会を「学長が決定するにあたり」「意見を述べる」だけの諮問機関に変質させるものです。加えて、「意見を述べる事項」を「学生の入学、卒業及び課程の修了」と「学位の授与」に限定し、その他、教育研究費の配分、教員の業績評価・教員採用などの人事、学部長の選任、カリキュラムの編成や学部・学科の設置・廃止などについては、「教育研究に関する重要事項で、学長が教授会の意見を聴く必要があると認めるもの」として学長の裁量に一切を委ね、大学の教育・研究活動における教授会の役割を根底から覆そうとしています。

 国立大学法人法改定案では、学長決定権の全てをごく少数の者からなる学長選考会議に与えようとしています。かつての国立大学における学長選挙が改廃され、意向投票制度としてのみ残された現行の学長選考に対する大学構成員の権限が、学長選考に関する第12条7項に「学長選考会議が定める基準により」という文言が付加されることでさらに縮小・消滅する方向へ改定されようとしています。さらに、第20条3項の「国立大学法人の経営に関する重要事項を審議する機関」たる経営協議会の委員における学外者の数が、現行の「二分の一以上」から「過半数」に変更されようとしています。これは「経営に関する重要事項」について、その帰趨を学外者に委ねるものです。

 本法案は教員集団の専門性と民主制を尊重し、真理の探究と社会の発展に寄与すべき大学の本来的なあり方を否定するものです。大学の教育・研究は、真理探究に向かう関心・熱意と研究・教育対象それ自身が提起する内発的課題に取り組む大学構成員の総体として成立します。したがって、教職員の信頼と活力を欠いたままでは、学長は真のリーダーシップを発揮することはできません。

 わが国においては戦後、憲法第23条に規定された「学問の自由」のもとで「大学の自治」を保障するために、学校教育法第93条の教授会規定が設けられました。大学の自治は、「大学の学長は教授そのほかの研究者が大学の自主的判断に基づいて選任される」ことを含むと最高裁によって判示されています。

 全院協は、教授自治はもちろんのこと、大学自治が教授自治のみならず、大学院生を含む全構成員自治の理想を追求すべきだと考えます。全院協は、法案に断固反対し、法案がもつ危険性、すなわち真理を学び・研究する権利を侵害すること、そして日本における私たち次世代の研究者・教育者育成に深刻な影響を与えるという危険性、を広く国民と共有し、国会審議を通じてこの法案を廃案にさせるために運動します。その過程において、大学の自治が全構成員自治の理想を追求すべきであること、学問の自由を守るためには大学自治を根幹とする大学制度が必要であることについて、改めて大学の内外で広く議論を深めるとともに、大学が国民の共有の財産であることを自覚し、そのために力を尽くすことをあわせて宣言します。

2014年6月7日 全国大学院生協議会

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