声明・談話

《議長談話》給付制奨学金をはじめ、コロナ禍にあたり大学院生に対する支援の抜本的拡充を求める

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2020.05.07

全国大学院生協議会議長 梅垣緑

 5月6日、安倍晋三首相は動画配信サイトニコニコ動画のインターネット番組「安倍首相に質問!みんなが聞きたい新型コロナ対応に答える生放送」 にて、政府による学生支援策としての給付制奨学金の対象に、大学院生が含まれていないことを表明した。
 全院協が奨学金の会とともに4月10日に行った文科省への要請においても、新型コロナウイルスの影響によって家計が急変したとしても大学院生には給付的な措置をとる予定はないことが明らかにされている 。上記の首相の発言は、文科省のこうした姿勢について行政の長として改めて明言した形になる。

 これら政府・文科省が大学院生への給付制度をつくることについて繰り返し拒む姿勢を示していることに、全院協は断固として抗議する。全院協が取り組んできた大学院生の研究・生活実態調査アンケートの結果が示すように、圧倒的多数の大学院生は研究と生活をアルバイトや奨学金という名の借金でまかなっている。新型コロナウイルスの感染拡大は、誰がどう考えても大学院生個々人の責めに帰すことができないのにもかかわらず、これに対し借金など自助努力で乗り切れというのは、大学院生の置かれている劣悪な状況をあまりにも無視していると言わざるを得ない。

 政府・文科省は、高等教育の修学支援新制度や給付制奨学金の対象に大学院生を加え、大学院生向けの授業料免除や留学生支援などを従来の枠にとらわれず拡充すべきである。日本の学術・研究の将来を支える大学院生が、コロナ禍のために退学したり、進学を諦めたりすることなどは絶対にあってはならない。
 いま、野党によって学生支援法案が国会に提出されようとしている。大学院生も当然、その支援対象となるべきである。政府・与党はこの提案に積極的に応え、高等教育を受けるあらゆる学生への支援を速やかに行うべきである。

 学生支援策拡充を求める流れは、学生自らによるコロナ禍の影響調査や、一律学費半額を求める全国各地での運動によってつくられた。全院協はこれらと固く連帯することを表明する。
 全院協は、大学院生の声や実態に寄り添い、コロナ禍からその学修・研究・生活を守るために力を尽くし、今後も政府・文科省が相応の責任を果たすよう追及する考えである。

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