全院協ニュース

全院協ニュース第255号を発刊しました

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2018.11.25

目次

  • 巻頭言
  • 文科省レクチャー報告
  • アンケート報告
  • 院生自治会・院生協議会紹介
  • 2017年度第2回理事校会議の報告
  • 2017年度第3回理事校会議の報告
  • 政党・国会議員要請行動のご案内

巻頭言

 2018年度「大学院生の研究・生活実態に関するアンケート」は、6月11日から9月30日までの期間で実施し、過去最多となる126の国公私立大学から、702名の回答いただくことができました。ご回答頂いた皆さまおよびご協力いただいた各大学院協、学会の皆さまに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 アンケートを通じて明らかになった大学院生の研究・生活実態と一人ひとりの声に基づいて、今年も大学院生の研究・生活環境を改善するための要請行動を行います。後表紙に詳細がありますが、12月6日(木)に前日戦略会議、12月7日(金)に要請行動を行います。多くの皆様に参加いただくことが、それだけ政治に私達の声を届けることに繋がります。是非、参加のご検討をお願いいたします。

 さて、早いもので、全院協が今年の代に入ってからもうすぐ8ヶ月が経過するようです。今回は、12月の要請行動を見据えて、全院協活動の今後について少し考えてみたいと思います。

 私の専攻は経済学です。現在肌で感じていることと経済の推移とは、一見すると何の関係も無いようで、実は大きな関わりがあるのだと思っています。1997年に日本の平均賃金がピークを打ち、その後現在まで平均で50万円程下落してきました。その直接の原因には派遣労働の対象拡大を始めとした非正規雇用の増大がありますが、こうした変化(格差拡大や貧困化)に伴って、社会のいろいろな箇所で余裕が失われているような、換言すれば、誰もが自分のことに必死で他の人のことなんて気にしていられない、といったような感覚を受けます。

 大学院生にとっても、この間2004年の大学の独立行政法人化以降の運営費交付金の削減を始め、「選択と集中」に基づく競争的な資金配分によって、大学間・研究者間での競争の激化、業績主義の浸透が顕著となりました。全院協の活動においても、大学院生の多忙化という問題が重くのしかかってきており、全院協活動の軸となる事務局、それを支える理事校ともに状況は芳しく無く、活動を同じ規模で続けていくだけでも大変な状況です。業績を出すことを迫られ、研究とアルバイトだけでも忙しい中で、また活動の人数が十分にない中で、どのように活動を組み立てていくか、どのように活動を継続させていくかというのが今後考えていくべき重要な課題となってくるでしょう。

 全院協は全国の大学院生の研究・生活条件の改善を訴える唯一といって良い団体です。しかし、「他人のことなんてどうでもいい」という見方に立つならば、こんな活動をしても損だし無意味、となるのは必定でしょう。今後全院協が続いていくかどうかは、大学院生どうしが、競争しあう関係ではなく、広く支え合える関係を築くことができるかに懸かっていると思います。私達の活動によって、すぐに状況が改善しているような感覚は無いかもしれませんが、それでも大学院生の実態について少しずつ認識は広がっており、話を聞いてくれる政党・議員は増えてきているように感じます。諦めずに粘り強く活動を続けることが、将来を少しでも良いものに変えていく力となるはずです。共にがんばっていきましょう。

2018年度 全国大学院生協議会 議長 葛谷泰慣

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