全院協ニュース

全院協ニュース第235号を発刊しました

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2012.10.13

目次

  • 議長巻頭言
  • 2012年度「大学院生の経済実態に関するアンケート」の概要
  • シリーズ大学院と大学院生を取り巻く現状
    • 奨学金問題
    • 留学生問題
  • 省庁政党要請に向けて
  • 院生自治会 ・ 院協活動紹介
  • 第2回理事校会議報告
  • 編集後記

議長巻頭言

全国大学院生協議会議長 奥村美紗子

 9月、国際人権規約 A 規約第13条2項 (b,c の留保撤回を政府が閣議決定したというニュースが飛び込んできた。 13条2項 (b, は中等・高等教育無償化の漸進的導入を定めているが、日本政府は1979年に国際人権規約を批准してからこれまでこの条項に関して留保 してきた。やっと留保撤回したか、これからが始まりだというのが私の率直な感想である。私がこの条項について知ったのは大学に入学し自治会活動を始めた2006年である。その当時全学連(全日本学生自治会総連合)から国連へ代表を派遣し、私の大学の先輩が日本の学生の実態を発言した。私自身も学費署名などに取り組んできたが、授業料は上がりはしないが下がる気配はなく、留保撤回が実現するとは思っていなかっ た。しかし、2007年に東京大学が世帯年収400万円以下の学生の授業料免除を打ち出し、2010年には高校の授業料が実質無償になるなど、この数年間で情勢は大きく進展していると感じる。それは全国の津々浦々で長い間多くの運動が取り組まれてきた成果であり、全院協もその一端を担ってきたと確信している。今回の留保撤回は学費を巡る情勢の変化を後押しし、学費負担を軽減していくスタートであると考える。

 その一方で 2013 年度の文科省の予算概算要求は学費負担軽減の実現にはほど遠い。授業料免除枠が多少増えてはいるものの、給付制奨学金の創設は見送られ、運営費交付金は大幅に削減される見込みである。留保撤回したところで、現実の学生生活が改善されなければ意味がない。高等教育の無償化を実現するために、運動を広げていかなければならない。

 今回の全院協ニュースでは今年度のアンケート調査結果の一部 を掲載している。回収期間が短期間であったにも関わらず、多くの院生の協力のおかげで755 人の院生から回答を得ることができた。この場を借りて御礼申し上げたい。アンケートには院生の切実な声が多数寄せられている。多くの院生が経済的な不安、将来への不安を抱えて いる中で、研究を続けている。そのようなたくさんの「声なき声」を大学院生の声として届けていかなければ状況は変わらない。秋には全院協でも国会議員、省庁要請を控えている。年に1度ではあるが、院生の実態や思いを届けるチャンスである。多くの人に参加してもらい、今の状況を少しでも改善するように奮闘していきたい。

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